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インターネット上の高校ってどう?

高校入試のシーズンだ。
都内では、23日に都立高校の入試が行われたようで、飲み屋で息子の入試の首尾について話しているお父さんの姿を見てなつかしいような、身につまされるような気分になった。
最近は、小学校や中学校(いやそれ以前から)でお受験の荒波にもまれている子どもたちがいるが、新潟市の中でもいなかの地域で育った私は、高校へ進むこと自体が地域のコミュニティから脱して、未知の世界に踏み込むようなわくわく感があった(毎日、通学列車に乗れるのがうれしかった)。
当時の私の中学校は、進学校でもなかったので、6割以上が就職をしていたと思う。
家業を継いだり、集団就職で首都圏へ出たり(歳がばれてしまうか)。
時代が違うといってしまえばそれまでだが、いまの中学生は、ほとんどが高校に進むのは当たり前だと考えているのだろう。

ところが、さまざまな理由があって高校に進めない(進むのが不得意?)な子どもたちもいるらしい(単に、経済的な理由だけではなくて)。
勉強嫌いだったり(この場合は、学校の勉強という意味)、コミュニケーション力がなかったり、体に障害があったり、中学生の頃からさまざまな理由で不登校だったり・・・・。
こうした子どもたちを受け入れるいろいろな教育施設も、あるにはある。
先日、株式会社立の、インターネット上の通信高校が開校するというので話を聞きにいってきた。

私立の学校法人は、まあいってみれば株式会社と同じようなものだから、株式会社立といわれても驚きはしないが、それをインターネット上につくってしまおうというのだ。
運営するのはアットマークラーニングという会社で、社長の日野公三さんは、もとリクルートの社員だった人。
リクルートでは通信事業などをてがけ、10数年前、神奈川県の第三セクターの役員をしていた頃、視察先のアメリカでネットによる在宅学習に出会ったという。
2004年に、日本で初めて株式会社による通信高校を石川県で開校し、インターネットを使った授業ですでに300人の卒業生を送り出している。

こんど開校する高校は、福岡県田川郡・川崎町の廃校となった小学校に拠点を置くという。
文科相から認可がおりた「教育特区制度」を活用するもので、高校名は「川崎特区アットマーク明蓬館高校」と長ったらしい。
川崎町は、昔、炭鉱でさかえた筑豊地域にあるが、最近は過疎化が進み元気がない。
町長の手嶋秀昭さんは旧国鉄~福岡県議会議員という経歴をもち、通信高校の拠点を町に置くことで、スクーリングなどを含めた町の活性化に期待しているようだ。

校長先生になる人は、兵庫教育大学名誉教授の成田滋さん。
「年金でのんびり暮らそうと思っていたが、インターネットを使うことで、これまでにない教育形態に接することができる」と、65歳を過ぎて新しい分野にチャレンジすることにしたという。
成田さんたちは、上からの目線で教える「ティーチング」ではなくて、下から支える「コーチング」を重視している。
先の、石川県の通信高校の場合、全国から集まる生徒の中には、さまざまな理由でふつうの高校に進まなかった生徒も多いが、入学者の9割が卒業(高校卒業資格を取得)し、大学や専門学校などに進んでいるケースも多いという。

自分の高校時代の学習態度を思い起こしてみると、いまから考えれば、毎日、予習と復習をきちんとくり返していればあれほどテストで悩まなかったのではないか、のちの大学受験で苦労しなかったのではないかと思う(クラスの中には、アタマのいいヤツもいたけれど、出来るヤツは予習・復習をきちんとやっていたのだろう)。
それと同じで(厳密には多少違うが)、たとえインターネット経由であろうと、ふつうの高校で使われるような教材をベースにして授業が行われ、生徒に意欲があるなら、高校で教わる勉強は身につけることができるし、大学受験にも対応できるのではないか。
学校生活の形態は、ネットでのサポートを中心にしたネットコーチングと、品川にあるキャンパスで少人数教育を受けるスクールコーチング、自分自身で計画を立てて行うセルフコーチングがあり、生徒は個人用の「マイページ」にログインして教員から指導を受けるほか、年間、数日のスクーリングでは川崎町の学校に集まって農家民泊や農業体験、自然学習などもできるのだという。

いま、日本にはこうした株式会社が教育特区を活用して運営する通信制高校が19校あるという。
先進のアメリカでは、100校のインターネット高校に40万人が在籍し、ほとんどが株式会社立だという。
この「明蓬館高校」どんなふうになっていくのだろう。
筑豊の、廃校となった小学校を利用したスクーリングなんて、おもしろそうではないか。

この春、胸ふくらませて高校に進む子どもはどれくらいいるのだろう。
どういう高校であれ、人や知識、経験・・・・未知なるものと出会うわくわく世界であってほしい。

蛇足だが、私は、高校入学が決まった春休みに、はじめて近所の鉄工所でアルバイトを経験し、吉川英治の「宮本武蔵」を読了した。
先日、必要があって「宮本武蔵」を再読したが、あのときのわくわく感は感じられなかった。
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